お元気ですか?ぴろです。
以前一緒に働いていたところの先輩から、お金を貸してくれと頼まれた。少しの間、銀行に入れておかなきゃいけない状況らしい。融資を受けるときに、銀行にお金がないといけないとか・・・?
「ほんとに少しの間でいいから、終わったらすぐに返すから、正式な借用書も発行するから、なっ」
とても必死に、こんな俺なんかに頼んでくる。
「おまえ、しばらく生徒が集まらない間の運転資金があるだろ?まとまったお金があるんじゃないか?」
かなり必死で、痛々しい。後輩の俺に頼むとは、よほどのことだろう。切羽詰ってんのかな。
その先輩は、2年前に独立して塾を始めた人だ。半年前は、昼に天ザルを食べてタバコを吸いながら、スイーツを食べるのが日課だと言って笑っていた。「おいおい、羽振り良いな」とうらやましかった。
「ほんと無いっす。ほんと、ギリギリの運転資金しか無いっす。」
断ってしまったが、少しの間だからなんとかすりゃ良かったかなと後悔。いや、これでよかっただろ。お金のトラブルは怖ぇーもんな。しかし、自営業ってのは、こんなに人を変えてしまうものなんだな。あの先輩が俺に頭下げるなんてな。
その先輩がいつも子供たちに言ってたことを思い出した。
「受験てのはな、フライングしても失格にはならないんだ。そういうルールだ。マラソンでフライングが認められていたらフライングするんじゃないかな?勝ちたいと思ってるならな。春こそフライングだ、しかもロケットスタートでだ。」
受験が近づいてから本気になるのではなく、早めに受験対策を始めろってことが言いたかったのだろうが、ピンとこねーなと思っていた。この人うまく言えねー人だなってな。やべっ、どんどん思い出してきた。
いやいや、マラソンも早くから練習するのはかまわないだろ、準備は早くてもフライングじゃねーから、こいつ都合良くね?逆に、受験も「はじめ!」の前に解き始めりゃフライングだろ?
それにしても、他人の名言をあたかも自分の言葉のように自慢げに話す人だったな。それも、わかりにくく言い換えてな。
薄くなってきたマーカーがホワイトボードのところにおいてただけで、30分くらい説教する人だったな。使おうと思ったら書けねーしとか軽く切れてた。薄くてもまだ使えんだよ!と思いながらも、その人の前ではみんな良い子。めんどくせえ人だからな。
やべっ、お金貸さなかったことぜんぜん後悔してねーよ俺!
何か始めようとして、どこかに融資を頼むつもりだったようだか、もしそれが成功しそうならそのとき乗っかろうかな。なんだか今日の俺腹黒いな。自営業としての自覚が出てきたな。